自己紹介
31歳男性。東京理科大学卒業。心理学、小論文は未経験、正社員として就業しつつ1年の受験期間を経て、2024年10月筑波大学大学院 人間総合科学学術院 人間総合科学研究群 カウンセリング学位プログラムに合格。
大学院受験までの経緯
大学院受験を決めたきっかけは、前職での業務過多によるバーンアウトと転職後の上司からのパワハラを経験したことでした。ストレスを処理できる人とできない人、のびのびと楽しそうに働く人とそうでない人、これらの違いは何なのか気になり始めたのがきっかけだったと思います。また、自分のネガティブな経験は、おそらく自分以外にも経験している人はいるだろうと考え、そういった人たちへの手助けができないかとも考えました。これらをもとに、漠然と大学院で研究をしたいと考えるようになりましたが、もしかしたら失敗に終わるかもしれないと内心とても不安でした。しかし、できる限りのことをやったのであれば、たとえ失敗しても自分の中で腑に落ちるのではないか、失敗の経験も良い思い出になるのではないかと考え、大学院受験を決めました。かけたお金や時間、労力よりも「経験」が重要だという方向へ認識を変えたということです。
受験勉強
私の大学院受験は他の受験生よりもスタートラインがかなり後ろにあったと思います。私は学生時代から理系寄りの人間であり、文章を読んで文脈を理解するよりも、数式をいじって明確な答えを出すほうが得意なタイプでした。心理学も勉強したことはなく、対人支援の職に就いているわけではなかったため、知識、経験ともにゼロの状態で受験勉強を始めました。河合塾KALSの「心理学概論」の講座では語句説明の課題もうまくまとめることができず、要約とは何なのかというところから学ぶため、高校現代文の初級レベルの参考書を見たこともありました。また、受験勉強を始めるにあたり、受験校の過去問を最初に見るようにしました。語句説明や小論文、調査計画の出題が毎年あり、河合塾KALSの講座はこれらと関連のありそうな授業だけを受講しました。河合塾KALSの授業はあくまで心理学の全体像を把握するために受講し、受験校の対策は随時過去問から逆算し、必要なものを授業やネット、本から汲み取るようにして勉強を進めました。これが最も効率的な勉強法だったと思います。スケジュールも試験日から逆算し、ざっくりと月単位でいつまでに何ができていないといけないかを把握しながら進めました。試験当日までのマイルストーンを設定することで、漠然と勉強を進めるということがなかったため、これも効果的な方法だったなと思います。
私が社会人として就業しながら受験勉強をしたことについても述べたいと思います。受験を決めた当初は、会社を辞め勉学に専念することも考えました。しかし、現実問題、収入源がなくなることはやはり不安であったため、受験期間、大学院入学後ともに社会人として就業しながら同時並行で進めることに決めました。それからは基本的に就業前または就業後に数時間、通勤途中の電車内で数十分の勉強をする日を毎日続けました。途中、どうしても仕事で疲れてしまう日や、やる気の出ない日がありましたが、1日5分でもやると決め、机に向かうように意識しました。振り返ると、就業しながらの勉強は、勉強内容そのものよりもモチベーション維持がとても重要だったなと思います。また、業務が繁忙期のときは、平日の勉強は数十分しかできず、当初立てたスケジュール通りに進めることができなかったため、土日にまとめて勉強することもありました。勉強に夢中になるだけでなく、スケジュールを都度調整することも重要だったなと思います。
研究計画書・志望理由書
研究計画書は河合塾KALSで宮川先生に1年で計4回添削していただきました。最初の1回目は河合塾KALSの「研究計画書作成マニュアル」をもとに作成しましたが、全く論文の体を成していなかったように思います。宮川先生からのコメントだらけの計画書を見てとても焦りを覚えました。しかし、懇切丁寧なご指導のおかげもあり、3回目にはそれなりに形にはなったのかなと思います。別途提出が必要な志望理由書についてもこの辺りで添削いただいたと思います。こちらは思ったことを言葉にしただけなので、大した修正はありませんでした。4回目の添削には2次試験の面接で聞かれそうな箇所に焦点をあてて添削いただくようお願いしました。面接時に、計画書に書ききれなかった口頭で話すべき事項や、質問の回答を考えておいたほうがよい箇所など、とても参考になったと思います。また、研究計画を立てる上で先行研究を調べる必要があり、これにもかなり苦労しました。 Google Scholarで興味のあるワードを検索し、被引用数の多そうな日本語論文をなんとなく読むことから始めました。私の場合は「援助要請」「ソーシャルサポート」「ワークエンゲイジメント」など、ふわっとした構想はあったため、それらに関連する論文をただなんとなく読んでいました。論文中で興味を引く引用があれば論文末尾の参考文献リストから、該当する論文を再度検索し読むということを繰り返しました。本来であれば興味のある領域や概念に関するレビュー論文や実証研究の論文を読み、どのような研究がされてきたのか、今後の課題は何かという視点をもって読む必要があったなと反省しています。それができていれば、研究計画書の作成はもっとスムーズにできていたように思います。
使用した教材
・志望校の過去問:出題傾向や分野などかなり分析
・河合塾KALS
‐心理統計学・研究法:研究計画書作成に論文を読む必要があるため最初に着手
‐心理学概論:志望校で出題されるかどうかという視点でいずれの回も受講
‐心理学:志望校で出題されそうな箇所だけ受講
‐論述トレーニング:志望校で出題されそうな箇所だけ受講
・心理学用語の学習 https://psychologist.x0.com/
・大学院 大学編入学 社会人入試の小論文 吉岡友治著 実務教育出版
・公認心理師・臨床心理士大学院対策鉄則10&キーワード120 宮川純著 講談社
・他の通信講座の教材
・その他細かな調べもので書籍を何冊か…
大学院進学を目指す方々へ
とにかくゴールから逆算し効率良く勉強すること、モチベーション維持を怠らないこと、この2点をお伝えしたいと思います。特に社会人の方は、日頃の業務で体力と時間を使ってしまうため、1日のうちで勉強に充てられる時間はかなり限られています。そのためにも、無駄の少ない勉強を心掛けること、自分なりのモチベーション維持の方法を知っておくことが重要になると思います。心理学、小論文ともに未経験、対人支援とは無縁の職務、他の社会人受験生よりも浅い職歴、いずれも不利な状況から始めた大学院受験でしたが、こんな私でも合格できました。上記2点を忘れなければどなたでも可能性はあると思います。是非頑張ってください。私のアドバイスが合格の一助となれば幸いです。