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【特集記事】ゼロから始める研究計画書の書き方

【特集記事】ゼロから始める研究計画書の書き方  | 公認心理師・臨床心理士大学院 入試対策講座 河合塾KALS
  • 文責:河合塾KALS 宮川純
  • 作成日:2025/5/26

公認心理師・臨床心理士になるための心理系大学院受験において,多くの大学院で出願書類になっている研究計画書。どう書いたら良いのか分からない人も多いと思います。河合塾KALSでどのようなサポートを行っているのかも交えながら,作成のポイントについてお伝えしたいと思います。

研究計画書とは

研究計画書は大きく以下の2つの目的があります。

  1. 1.修士論文の計画書
  2. 2.大学院入試・面接試験における資料

研究計画書における「研究」とは,大学院修士課程における「修士論文」のことです。また,大学院入試の面接試験は,提出された研究計画書をもとに行われます。
そのため,大学院の合格を勝ち取るためには,クオリティの高い研究計画書の作成が必須になります。なお,河合塾KALSでは合格した方の研究計画書サンプルをご覧頂くことができます。それにより,合格レベルの研究計画書のイメージをつかむことが可能です。

研究計画書の構成

心理学の論文は,概ね以下の5パートで構成されています。

  1. 1 問題と目的
  2. 2 方法
  3. 3 結果
  4. 4 考察
  5. 5 引用文献

しかし研究計画書はあくまで「計画」なので,どのようなデータが集まったのかという「結果」や,それに基づく「考察」を書くことができません。そのため,研究計画書では上記のうち1・2・5で構成することになります。

問題と目的

まずは「問題と目的」について。ここでは,主に「リサーチ・クエスチョン」と「仮説」を明確に示すことが重要になります。

リサーチ・クエスチョンとは,研究の根底にある問いや疑問のことです。例えば,以下のようなものが挙げられます。

  • ・自分に自信が持てないのはなぜ?
  • ・不登校になりやすい子どもは,どんな子どもだろう?
  • ・職場でハラスメントが起こる背景に何があるのだろう?
  • ・夫婦関係が良好だと,どのような良いことがあるのだろう?

リサーチ・クエスチョンを考えるためには,みなさんの日常生活で生じたさまざまな疑問を,スマホのメモなどに書き留めておく習慣が重要になります。また,なぜ心理職を目指すことにしたのか?という動機を振り返ることで,リサーチ・クエスチョンが見えてくることもあります。

次に仮説です。仮説は,リサーチ・クエスチョンに対する自分なりの回答・意見・主張になります。例えば,以下のようなものが挙げられます。

  • ・自信が持てないのは○○だからでは?
  • ・○○という特性がある場合,不登校になりやすいのでは?
  • ・職場でハラスメントが起こる背景に○○があるのでは?
  • ・夫婦関係が良好だと○○という良いことがあるのでは?

これらの仮説は本当かどうか分かりません。そのため,その仮説が本当かどうかを,実際にデータを取って確かめることになります。それをまとめた部分が,次のパートである「方法」になります。

方法・引用文献

方法では,主に以下のことを記述します。

  • ・だれにデータを取るか(研究協力者)
  • ・どのような心理尺度を用いるか
  • ・どのような分析方法を用いるか

これらをまとめた上で,最後に用いた先行研究を引用文献としてリストアップして完成です。
研究計画書全体に言える話ですが,書類では研究としての客観性を確保することが大切であるため「私は○○と考えた」という主観的な文章を書いてはいけません。特に『研究計画書に「私」は登場させない』は鉄則です。そこで「△△(20XX)は,○○と述べている」というように,自分の考えを先行研究の言葉に置き換えて述べていくことが基本となります。
そして先行研究については,本来はリサーチ・クエスチョンに関連する研究を多く読むことが理想ですが,たくさん読んでいるうちに分からなくなってしまうことが多々あります。そのため,まずは自分の考えを整理することを優先し,そのあとで自分の考えを支持してくれる先行研究を探していくプロセスを,河合塾KALSでは推奨しています。

実現可能性について

しかしここまで読んだ上で,色々な疑問が生じている方がいることでしょう。

  • ・不登校などを研究テーマにしたいけど,本当にできるのか?
  • ・すでに同じ研究を誰かがしているのでは?
  • ・分析方法は?と言われても,どうすれば良いか分からない…。

上記の理由で「だから,諦めよう」は,まだ早いです。実現が難しそうなテーマでも,類似した研究がありそうでも,ひと工夫すれば,出願できる内容に仕上げられます。ただ,そのひと工夫するためのスキルを,みなさんがまだ持っていないだけなのです。
だからこそ,ぜひ私たち河合塾KALSを頼って下さい。どうすれば実現できるか,一緒に考えましょう。分析方法についても,提案させて頂きます。ぜひ研究計画書の作成サポートという点でも,河合塾KALSを役立てて頂けたらと思います。