【お役立ちコラム】心理系大学院入試・論述の対策

- 文責:河合塾KALS 宮川純
- 作成日:2025/5/26
公認心理師・臨床心理士を目指した大学院受験では,ほとんどの大学院で論述問題が課されます。そのため,ただ心理学の知識を知っているだけでは不十分で,書いて表現できなければ得点にはなりません。そこで本記事では,河合塾KALSでどのような論述対策やサポートを行っているかも交えながら,論述のポイントについてお伝えしたいと思います。
それでも知識は必要
まずは大前提として,幅広い心理学の知識を身に付けておく必要があります。どれだけ論述力を鍛えても「知らないものは,知らない」からです。そのため,有斐閣の「心理学」「臨床心理学」や,東京大学出版会の「心理学」など,心理学の教科書として定評のあるものを読んだり,河合塾KALSの講義を受けたりなどして,まずは幅広い心理学の知識を獲得しておく必要があります。 また,幅広い知識を得るために4択・5択問題でトレーニングするのも良いでしょう。基礎心理学領域ならば「心理学検定 問題集」が,臨床心理学(特に医療・福祉・教育・司法・産業などの実践領域)ならば「赤本 公認心理師国試対策」がオススメです。4択・5択問題は答え合わせが容易なので,自分に足りない知識の確認と補強に最適です。
ノート作りの罠
冒頭でも触れたように,心理系大学院入試は論述試験なので,知識があることは前提ですが,それを書き表すことができなければ得点にはなりません。そのため,知識をノートに整理しながら「書く」トレーニングを進めていく必要もあります。 基本的には1用語1ページを基本として,用語に関連する要素を箇条書きで書いていくことになります。試験が近づいてきたら,それら箇条書きの要素を,自分なりに200字から400字の文章でまとめてみるトレーニングをしてみても良いと思います。
このノート作りの時に大事なことが「丸暗記」に走らないことです。例えば,以下の文字列を見て下さい。
く し り ん が
「くしりんが」と言われても,なかなか頭に入ってこないと思います。では,以下の文字列を見て下さい。
し ん り が く
どうでしょうか? 用いられている文字や数は同じですが,意味がわかる「しんりがく」ならば,頭に入ってくるのではないでしょうか。このように,私たちは「意味がわかるもの」しか頭に入ってこず,「意味が分からないもの」は頭に入ってこないのです。
実はノート作りをする上で,意味が分からないまま,とりあえず参考書の内容を「書写」している方は,多くいます。しかしそれは「くしりんが」をノートに書き続けているだけで,生きた知識にはなりません。結果として,論述できないことになります。 そこでノート作りをする上では「意味を理解しながら,ノートにまとめていく」ことを意識しましょう。意味が理解できない場合は「?」を付けておいたり,自分にとって意味が分かるような表現を添えておいたりする。別の参考書を読んで違う角度から捉えたり,河合塾KALSに通っているならば講師に質問したりするのも良いでしょう。
用語論述の基本
では具体的に論述をどのように構成すれば良いのでしょうか。大学院入試では心理学の用語説明が求められることが多いので,ここでは用語説明の基本についてお伝えします。 用語論述は主に以下の要素で成り立っています。
1 用語の定義
2 用語の特徴
3 まとめ
まずは「○○とは……である」という形で,用語の定義を最初に書くことが,用語論述の基本です。論述が苦手な方は,まずは定義文だけでも書けるようにしておくと良いでしょう。 次に用語の特徴を挙げていきます。ノート作りの時に箇条書きで整理した内容をもとに,用語の特徴,実験例,利点や欠点があるならばそれらも述べていきます。このとき,以下の点に気をつけられると良いです。
用語の特徴・実験例・利点や欠点 > 日常生活の例・関連用語
日常生活の例よりは実験の例を示したい所ですし,メインの用語よりも関連用語の説明が多くなってしまっては本末転倒ですよね。あくまで日常生活の例や関連用語は,ボリュームを作るための追加要素として扱うようにしましょう。 最後にこれまでに述べたことを整理するような内容や,心理学的な貢献・位置付けを述べるとまとまりの良い論述になります。
第3者の目線が必要
論述対策で難しいところは「評価」です。自分で書いた文章を自分で評価することは,なかなかに難しいです。ですから,心理系大学院受験を目指す仲間がいる場合は一緒の課題に取り組んで,お互いの論述を読み合って意見交換するなど,第3者の目線を通すことが必須です。 上記のような対策が難しい場合は,河合塾KALSの論述添削を受けることをオススメします。河合塾KALSでは用語説明課題が全14回,長文論述課題が全7回用意されており,充実した添削指導が魅力です。またデジタル添削システムを採用しており,書いた論述をスマートフォンで写真に撮り自宅から提出,講師の添削を経てすぐにフィードバックされる……という,スピーディな提出・返却システムがあります。これは通学講座・通信講座どちらでも利用可能です。
以上のことをまとめると,質の高い論述のためには「意味を理解しながら知識を得ること」そして「第3者の目線を通すこと」が重要です。ぜひそのような点を意識しながら,論述対策を進めて頂けたらと思います。