【お役立ちコラム】失敗しない研究室訪問のポイント

- 文責:河合塾KALS 宮川純
- 作成日:2025/5/26
心理系大学院入試における面接試験のある場面。
受験生「……以上のような研究テーマを考えております」
面接官『……』
受験生「世の中でも,このような悩みを抱えている人が多いことは報告されており,これからの臨床心理学に必要な研究だと思います」
面接官『確かにそうなんですけどね……』
受験生「……?」
面接官『うちの大学院でこのテーマを扱うのは,なかなかに難しいと思いますよ』
受験生「……!」
この場合「他の大学院に進学した方が良いのではないか」という親切心によって,不合格を突きつけられる可能性が高いでしょう。大学院入試は筆記試験で通過していても,面接試験で不合格になる可能性があるので,このような話は十分に起こり得る話です。
ではこのような悲劇を防ぐために,試験前に出来たことはなかったでしょうか。それが今回のテーマである「研究室訪問」になります。研究室訪問を行い,大学教員と擦り合わせを行っていれば,研究テーマを修正したり,受験校を変更したりして,不必要な「不合格」を突きつけられることはなかったはずです。そこで,今回は心理系大学院入試の鍵を握る「研究室訪問」についてお伝えします。
研究室訪問とは
研究室訪問とは,受験する大学院で指導を受けたい先生の元に赴き,話を聞きに行くことを指します。近年は,直接大学院に足を運ぶこと無く,ZOOMなどの通話ソフトを使ったオンライン研究室訪問が実施されることもあります。そして,研究室訪問の実施については,大きく以下の3パターンに分かれます。
- 1.研究室訪問は実施していない
入試の公平性の観点などから,研究室訪問は一切実施していない大学院があります。この場合は,大学院説明会などの後に開催される個別相談会などで,指導を受けたい先生と話をすることになります。 - 2.研究室訪問が必須である
決して数は多くありませんが,研究室訪問をしていることが受験資格になっている大学院があります。この場合は,入学願書などに手続きなどが書いてあることが多いため,それに従うことが基本になります。 - 3.研究室訪問について,特に規定は無い
最も多いパターンがこのパターンです。この場合,内部進学ではなく第1志望校であるならば,研究室訪問に行った方が良いです(第2志望は可能であれば,第3志望は無理に行かなくても良いかもしれません)。
基本的には大学の事務に問い合わせた上で,手続きを進めていくことになります。大学の事務が大学教員までつないでくれるケースもあれば,メールアドレスを教えられて,大学教員と直接連絡を取って下さいと言われるケースもあり,色々な場合があります。
研究室訪問の時期
心理系大学院入試を見越した研究室訪問の場合,「自分の研究テーマを指導して頂けるか」が重要な話題となるため,あまり早すぎる研究室訪問は一般的ではありません。
心理系大学院入試のメインとなる秋入試(主に9月・10月に実施)の場合,5月のゴールデンウィークを過ぎると入試説明会などが開催され始めますので,その入試説明会を終えてから出願までの間に行うことが多いです。春入試(主に1月・2月に実施)の場合は,入試説明会から出願までの間があまり空いていないので,行けるタイミングがあればいつでも大丈夫です。
出願期間が始まると,入試の近さ故に研究室訪問を受け付けてもらえない場合が増えます。できるだけ出願が始まる前に,連絡を取ることを心掛けましょう。
研究室訪問の準備
まず準備において大事なことがあります。それは「研究室訪問は,面接試験ではない」ということです。ですから,準備するべきは「質問されたら何を答えるか」ではなく,みなさんが「大学教員に何を質問するか」です。
主な質問事項としては以下の通りです。
- ・自分の研究テーマは指導してもらえそうか。(自分の研究テーマは,ある程度で構わないので話せるようにしておきましょう。)
- ・ゼミの雰囲気,大学院の雰囲気はどのような感じか。
- ・どのような大学院生が求められているか。
- ・その他,自分が確認しておきたいこと。(臨床心理士のみの資格取得の場合は,そのことについてどう思うか,聞いてみるのも良いと思います)
また大学教員が今どのようなことを研究しているか,聞いてみるのも良いでしょう。自分の研究に関心を持たれていることは,聞かれた側としては嬉しいものです。
さて本記事での紹介はここまでですが,河合塾KALSでは,研究室訪問に関するより詳しい資料を準備しています。メールの送り方など,細かい疑問に答える内容となっていますので,受講を検討されている方はぜひご期待頂きたいと思います。
研究室訪問は,行くまでは非常に緊張しますが,実際に行ってみると「行ってよかった」という声が非常に多いです。それは好感触を得られただけでなく,修正すべき点が見つかった,受験校の再検討が出来た,という意味も含んでいます。後悔しない受験のためにも,ぜひ研究室訪問をご検討下さい。