はじめよう。まだ、未来は変えられる。

公認心理師・臨床心理士指定大学院 試験概要

臨床心理士とは?

「臨床心理士」とは、臨床心理学にもとづく知識や技術を用いて心理的な問題を取り扱う“心の専門家”のこと。昭和63(1988)年に「日本臨床心理士資格認定協会」が設立され、「臨床心理士」の資格認定が開始されました。この協会は、1990年には文部科学省から財団法人として認可され、2023年4月には40,749名の「臨床心理士」が資格を取得し、スクールカウンセラーをはじめさまざまな領域で活躍しています。

ここでは、同協会のホームページをもとに、臨床心理士の仕事や資格認定試験についてご紹介します。

臨床心理士の仕事

  • 1) 臨床心理査定
  • 2) 臨床心理面接
  • 3) 臨床心理学的地域援助
  • 4) 調査・研究

臨床心理士の職域

  • 1) 教育分野
  • 2) 医療・保健分野
  • 3) 福祉分野
  • 4) 司法・矯正分野
  • 5) 労働・産業分野他

臨床心理士の受験資格:受験資格基準

臨床心理士の認定試験を受けるには、協会が定めた以下7種の受験資格基準のいずれかに該当し、かつ、これらに関する所定の必要証明資料を提出できることが条件となっています。

  • [1] 日本臨床心理士資格認定協会が認可する第1種指定大学院(修了後の心理臨床経験不要)を修了し、受験資格取得のための所定条件を充足している者
  • [2] 日本臨床心理士資格認定協会が認可する第1種指定大学院を修了し、修了後1年以上の心理臨床経験を含む受験資格取得のための所定条件を充足している者
  • [3] 日本臨床心理士資格認定協会が認可する第2種指定大学院を修了し、修了後1年以上の心理臨床経験を含む受験資格取得のための所定条件を充足している者
  • [4] 日本臨床心理士資格認定協会が認可する第2種指定大学院を修了し、修了後2年以上の心理臨床経験を含む受験資格取得のための所定条件を充足している者
  • [5] 学校教育法第65条第2項に基づく大学院において、臨床心理学またはそれに準ずる心理臨床に関する分野を専攻する専門職学位課程を修了した者
  • [6] 諸外国で上記1.または3.のいずれかと同等以上の教育歴および日本国内における2年以上の心理臨床経験を有する者
  • [7] 医師免許取得者で、取得後2年以上の心理臨床経験を有する者
  • 「心理臨床経験」とは、教育相談機関、病院等の医療施設、心理相談機関等で心理臨床に関する従業者(心理相談員、カウンセラー等)としての勤務経験を基準とする。なお、有給を原則とするので「ボランティア」「研修員」等は認められない。また、大学、大学院修士課程(博士課程前期)在籍中の経験はこれに該当しない。

臨床心理士の受験資格

臨床心理士の資格審査試験は、毎年秋に1回、実施されます。臨床心理士として必要な臨床心理査定、臨床心理面接、臨床心理的地域援助およびそれらの研究調査等に関する基礎的知識・技能について、試験で問われます。内容は、以下のとおりです。

  • 一次試験(筆記試験):100題の設問…多肢選択法、マークシート方式、小論文…定められた字数の範囲内で論述
  • 二次試験(口述面接試験):一次試験の成績が一定の水準に達している方に対してのみ行い、2名の面接委員により実施されます。

臨床心理士についてのお問い合わせ先

公益財団法人 日本臨床心理士資格認定協会
〒113-0034 東京都文京区湯島1-10-5 湯島D&Aビル 3階 TEL:03-3817-0020 FAX:03-3817-5858
協会ホームページ http://www.fjcbcp.or.jp/index.html

臨床心理士指定大学院入試科目と志望校決定

臨床心理士になるためには、「公益財団法人 日本臨床心理士資格認定協会」が実施する資格試験を受験することとなります。この受験資格を得るためには、同協会が指定している大学院を修了しなければなりません。注意すべきことは、大学院の心理学系の研究科のすべてが、指定されているとは限らないということです。特定大学の特定専攻(コース)が指定されていますので、出願時には注意しましょう。

臨床心理士指定大学院リスト

入試科目について

心理系大学院の入試科目は、(1)語学(主に英語)(2)専門科目(心理学)(3)小論文の全て又はいずれかが筆記試験で、加えて、(4)面接試験が課せられます。また、出願時に提出する研究計画書なども重要な選考要素となります。

一般入試の場合、筆記試験科目として、英語と専門科目(心理学)が課されることがほとんどです。小論文試験のみを行うところは、あまりありません。一方、社会人入試の場合、筆記試験科目として、小論文を課されることが多いようです。その代わりに英語が免除されたり、一般入試とは別の少しやさしい英語が出題されたり、少しやさしい専門科目(心理学)が出題されたりと、社会人への配慮をしているところも多いようです。

また、社会人入試のほかに、心理臨床に携わる職務に規定の経験年数を満たしている方に対して、「社会人特別選抜」という試験を導入している大学院もあります。この入試でも、前述のような免除や、研究発表論文の提出によって試験科目が免除になるなど、同様の配慮が見られます。

志望校の決定

志望校は、できるだけ早く決めたほうがよいでしょう。志望校の出題科目、さらには出題傾向を調べ、学習計画を立てる必要があるからです。志望校は、研究テーマで決めるのが一般的。自分が研究したいテーマを指導してくれる先生がどの大学院にいるのかを、まず調べてください。また、地理的な条件や学費の問題など一定の制限がある場合は、それらも考慮してください。

臨床心理士を目指して心理系大学院に進学しようとする方は、その大学院が指定校であることが絶対的な条件です。

志望校を1校に絞る必要はありません。受験料の関係もありますが、2~3校程度、併願が一般的だと言えます。また、大学の学部入試と違って、大学院入試の試験内容は、学校ごとに色濃く個性が出ているものです。そこで、過去問を見て自分との“相性”を調べた上で、実際の出願先を決定するのもよいでしょう。なお、学部入試と異なり、大学の知名度と受験の難易度に相関関係は必ずしもありません。

志望校が決まったら、募集要項を入手して試験科目・出願条件などをチェックしてください。入手先や入手方法は、書店で市販されている『大学院案内』といった書籍や大学のホームページで簡単に調べられます。とりわけ、社会人入試で受ける方は、社会人の定義が大学院によって異なりますので、自分がその大学院で社会人に該当するかどうかを必ず確認してください。同時に、志望校の過去問も取り寄せ、具体的な出題傾向を把握しましょう。過去問はほとんどの大学院で公開されていますので、大学のホームページで調べたり大学院の事務局に問い合わせて下さい。

ちなみに、指定校には第1種と第2種とありますが、第1種の場合は大学院修了後すぐその年の臨床心理士資格試験を受けることができ、第2種の場合は修了後1年以上の実習が必要という違いがあります。