国内MBA・MOT受験の基礎知識
MBAとは、“Master of BusinessAdministration”の略称であり、アメリカにある経営教育の老舗であるハーバード・ビジネススクールに代表されるように、経営の諸課題を解決する上でのスキルを習得し、経営のプロフェッショナルを養成する高度な経営学教育を行うものです。
日本でもMBAを設置する大学が増加しており、これに伴って志願者数も増加しつつあります。日本では慶應義塾大学大学院経営管理研究科(略称KBS)が最も古くよく知られていますが、その後文部科学省の「専門職大学院」構想で経営のプロフェッショナルの育成を積極化している背景もあり、現在ではバブル期のMBAブームに並ぶ勢いになりつつあります。バブル期と大きく異なるのは、費用負担が重く、言葉のハードルの高い海外留学によるMBAではなく、国内でMBAを取得する流れが徐々に強まっているということです。
MBAは、経営に関するスキルや知識だけでなく、様々な経営に関する現象を分析し、考え、課題に対する答えを複数考えて行動するといったサイクルを身につけることにも重きが置かれ、経営のプロとしての総合的な経営能力の養成を目指しています。これからの専門的経営管理者は、高度な業務を遂行する上で、一分野の専門知識のみならず総合的な視野が不可欠であると考えられているのです。
具体的には、経営戦略、人的資源管理、マーケティング、ファイナンス、アカウンティング、ロジスティックスといった各分野を満遍なく学習し、その中から専門分野を決めてゼミ等で修士論文指導を受けるといったスタイルが一般的です。
国内MBA入試対策
入試には筆記試験(英語、論文)と、面接があります。社会人への配慮もあって、近年では論文のみというケースも多いようですが、基本的には英語と論文と考えておくとよいでしょう。また、面接については、「研究計画書」と言われる「自分が大学院でどのようなことを研究したいのか」ということを書面で提出し、その計画書に基づいて面接による口頭試問が行われるケースが多いです。具体的な対策について次に述べていきます。
論文対策
論文は単なる経営学的な問題というよりは、社会科学全般から出題されると考えておくとよいでしょう。具体的には「情報化社会における課題」等、課題文を読んで自分の考えをまとめていくことが必要です。また、経営学、マーケティング、アカウンティング、人材マネジメントといったMBAで学習する基本的な項目についての理解も必要です。まずはこうした基本的なテクニカルタームを押さえながら、受験までの間に1週間で1テーマくらいの割合で論文を書いていくトレーニングが必要でしょう。過去問演習は、直前に一気に仕上げる対応でよいと思います。大学入試の「論文」の問題も参考になります。
英語対策
英語については、特に社会人の皆さんにとっては、きわめてハードルが高いとお考えになっていることと思いますが、確かにある程度の対策が必要です。英語は、差のつく科目です。英語が入試科目にある大学院については一定のレベルが要求されることは今後も変わらないでしょう。
MBA入試の英語に関しては、専門英語からの出題か、英字新聞記事からの出題が多いです。出題形式は、下線部訳、全文訳、要約問題、英文から読み取って自分の意見を述べるようなタイプの問題です。大学入試の延長線上で考えていただいてよいでしょう。質を伴った量をこなしていくことが重要です。
英語から離れている方は、英文の読み方を、基本的なところから再度復習していただき、専門分野毎にある程度の英文を読んでいくことが必要です。自習する参考書や問題集は大学院入試の世界ではほとんどありませんので、大学入試用の「英文読解の問題集(解説の詳しいものがベター)」を使いながら、英文に慣れるようにして下さい。英語は読んだ量に比例するところがありますので、地道にコツコツやることが合格への近道であると考えます。
面接と研究計画書
面接試験は、筆記試験を通過した受験生について課す場合と、全員に対して課している場合があります。面接に関して準備を入念に行うべきことは、「研究計画書」です。自分が入ってからどういったことをやりたいのかを考えて記入します。実際、どんなことに興味関心があって、どういった方向性で研究を進めていくのかといったことを論理的に示していくことが大切です。問題意識の深さが大きな鍵になるでしょう。「何となく」といった意識では厳しいです。この大学院を志望したのかというようなことを相手に説得力を持って示せるようにまとめていくことになります。アイディアをうまく自分の言葉で具体化して、説明できるレベルにしておくことがポイントといえるでしょう。