24年 滋賀医科大学 医学部学士編入試験合格者 合格体験記
20代、女性。国立大学医学部保健学科卒業。臨床検査技師としての病院での勤務経験から検査だけではなく診察や治療に携わりたいと考え、医学部受験を決意。2022年12月に仕事を退職し2023年1月から本格的に受験勉強を開始。2024年11月滋賀医科大学から合格をいただいた。
プロフィール
医学部編入、学士編入に至るまでの経歴
国立大学医学部保健学科検査技術科学専攻を卒業後、臨床検査技師として病院勤務。退職後は週2~3の頻度で技師としてアルバイトをしながら勉強し、2024年11月に第1志望である滋賀医科大学から合格を頂いた。
受験先と受験結果
2023年と2024年と2年チャレンジした。
2023年結果
滋賀医科大学の一次試験合格、二次試験不合格。
受験勉強開始が遅く試験まで半年ほどしかないという状態で1年目は常に焦りを感じながら勉強していた。筆記対策ばかりに時間を割いてしまい、書類作成と面接の対策を十分に出来ていなかったことが失敗の原因であったと考える。
2024年結果
秋田大学、弘前大学は願書を出したのみで筆記試験を受けていない。
第一志望である滋賀医科大学から最終合格をもらったためそれ以降の試験はすべて辞退した。
進学先と進学先を選んだ理由
滋賀医科大学に進学予定である。私は関西出身であったため、関西圏かつ受け入れ人数の多い滋賀医科大学を第1志望としていた。また滋賀医科大学は京都にも近く、都会すぎず田舎すぎない立地であるため生活しやすそうと思ったのも志望理由の一つである。
医学部編入、学士編入を志したきっかけ
病院勤務をしているときに検査に関する知識や技術を習得すると同時に医学をさらに深く学びたいと考えるようになった。学士編入では通常より1年早く医学部を卒業できることをメリットに感じたのと、一般入試では共通テストに古文漢文や社会の科目があり、数年前の記憶を頼りに高得点を取得する自信がなかったため一般入試を受けるという選択肢はなかった。
勉強方法
KALS受講内容
基礎+完成+実戦+物理化学コース
オプション:英作文
直前対策:過去問分析(鹿児島、群馬、長崎、旭川医科、滋賀医科)、個人面接対策
トップレベルテストゼミ
志望校を選んだ時期・理由
基本的に受けられるところは受けるスタイルで10校ちかくに願書を出した。交通機関が整備されており住みやすそうな地域の大学に通いたかったため、地図で大学の場所を調べ、駅は近いのか、周りにスーパーや娯楽施設はあるのかなども見て受験校を選択していた。受験の戦略として、私は英語に苦手意識があったため物理や化学も勉強することで得点源になる科目を増やし、受験校の選択肢を増やすことにした。ほとんどの大学が例年どおりの時期に試験を実施しているため、昨年度の試験日カレンダーのデータをもとにして、3、4月ごろに一年の大まかな受験スケジュールを作成した。過去問の分析に時間がかかるため月に一回のペースで試験を受けられるように計画をたてた。
入試までに勉強した科目
生命科学、英語、物理、化学、数学、統計、小論文、英作文
得意科目・不得意科目
得意科目:生命科学、数学、化学
不得意科目:英語、小論文
各科目の勉強法
生命科学
基本的にKALSの教材のみの利用でたまに高校の時に使っていた生物の教科書をパラパラと読む時があった。1月からの勉強開始で遅れていたため3日に1講のペースで講義動画を視聴し、視聴後は確認テスト、ワークブックを解いていた。半年で実戦まで終わらせ筆記試験に受かるレベルまでもっていった(1年目は面接落ちで不合格)。1年目にそれなりに勉強をしたため2年目は1年目ほど勉強することはなかったが、6月にまさかの鹿児島筆記落ちをしたため、基礎からもう一度見直し、一問一答を即答できるようになるまで繰り返すことで、基礎をかためた。今までは基礎を甘く見ていたが、基礎固めというのは本当に大事であり、一問一答を即答できるようになると生命科学の理解が深まり、記述力も自然と上がっていった。
生命科学は20~100字程度の記述が多く、要点落ちをしないための書く練習が必要である。テキストやワークブック、要項集の問題を何度も繰り返して解き、答えを覚えた。忘却曲線を意識し、一度解いた問題は時間をあけずに二度、三度解くことで記憶の定着を図った。
愛媛大学の二次試験の時に面接官に「生命科学がとてもよくできていました。」と褒められたため、自分の勉強方法は間違っていなかったのだと自信につながった。
英語
英語は基礎完成のテキストに加え外部試験のTOEICとTOEFL対策もした。基本的にはKALSのテキストとTOEICのPart7の教材を用いて長文の精読をし、TOEICのPart5の問題集を解くことで文法を勉強した。単語はTOEFLの単語帳を使用した。Natureなどの医学論文は時間がなかったため読んでいない。外部試験はリーディング以外にリスニングやライティング、スピーキングなどの対策も必要でありETSが出している公式の問題集を使用した。外部試験のライティング対策は旭川一次試験の英作文にも役立てることができた。学士編入に最低限必要と聞いていたTOEIC800以上、TOEFL70以上を2月、3月に取得できたためそれ以降はほとんど英語の勉強はすることはなかった。英語はできるだけ早めに最低限の実力まで上げておき、試験直前は生命科学などに時間がさけるようにすることが重要だと感じる。
物理
物理は初学であったため、複数の教材を用いて学習した。はじめはKALS基礎の教材を用いて勉強していたが途中でついていけなくなったため、YouTubeで家庭教師のトライが配信しているTry
Itの視聴をすることで基本を学び、入門問題精講、基礎問題精講、セミナー物理基礎・物理で演習問題を解いた。
その他参考書は「宇宙一わかりやすい高校物理」と東進衛星予備校が出版している「橋元の物理をはじめからていねいに」を教科書代わりに用いた。
ある程度参考書の問題が解けるようになってからKALSのテキストにとりかかると、より物理を理解するのが容易になり、テキスト記載の問題もある程度解けるようになっていた。
数学、統計
数学に関しては各大学の過去問を分析し、出題されている範囲の問題のみを高校生時代使っていた青チャートで解いていた。数学は高校生時代に国立二次レベルまで習得し、かつ得意なほうであったため滋賀、山口の1か月前ごろから軽く1日1時間ほど勉強する程度であった。統計はKALSの教材で学習し、よくわからない問題は解説付き例題をネットで検索するなどして、理解を深めた。
化学
高校の時に国立二次レベルまで習得していたため、6月ごろから勉強を始めた。時間がなかったため全範囲を網羅的に勉強するのではなく、各大学の過去問を見て出る範囲のみを勉強した。KALSの教材は基礎シリーズの教材のみを一通り解けるようになるくらいまで勉強し、物化シリーズは物理同様ひとつも取り組んでいない。
小論文
KALSの教材のみで対策した。20講分すべて作成→添削→見直しをし、どのように書くのかしっかり理解した。苦手意識があったが書き方を学ぶことで群馬大学や滋賀医科大学など小論文が必要な大学で合格点をとれるようになった。
書類作成、面接
志望理由書は面接でとても重要な書類である。この書類作成の段階で面接準備の半分を終わらせていると考えたほうが良い。書類は約半年間ほどかけて週に1回の頻度でチューターに見てもらいアドバイスをもらった。1年目は一人のチューターにばかり見てもらっており、やはり着眼点が偏ってしまうためか最終的に面接を突破できるような志望理由書を作成することができなかった。2年目は複数のチューターに見てもらうことで内容のブラッシュアップをし、3人以上のチューターに「これで出してもいいと思う」という答えがもらえるまで作り直した。そのおかげでKALSの先生に見てもらったときも、なかなか出来の良い志望理由書が書けているといってもらうことができ、書類内容に自信をもつことができた。
面接対策では自分の作った志望理由書の内容を掘り下げ「なぜ医師でないといけないのか」「医師としてどう医療に貢献したいのか」など面接で聞かれそうな質問の答えを自分なりに考え、合理的に答えられるように頭の中で思考の整理をした。面接対策も志望理由書作成と同様にチューターや先生に質問の回答を見てもらい客観的な視点で評価をしてもらった。
不得意科目攻略のために特に工夫したこと
英語が苦手であったため基礎の文法から勉強しなおした。また長文も同じ文の精読を何度も繰り返すことで文の構造を理解し、速読でも内容がしっかり浮かぶくらいのレベルまでもっていった。滋賀は文法問題がでるため河合塾が出している空所補充の問題集と誤文訂正の問題集も追加で勉強した。
おすすめ図書とその利用法
受験のための教材はKALSのテキストで十分だが、強いてあげるならば下記の参考書がおすすめである。
英語:
① TOEFL3800の単語帳
外部スコアを要求する大学が増えてきているため。実際に英語の試験を課す大学の出題内容が医学英語というよりTOEFLで出題されるような内容が多かったため(私が受けた大学のみに言えることだが)個人的にはおすすめ
② スタディサプリTOEIC対策
スタディサプリの英語では名物の関先生という面白く英語を教えてくれる先生がおり、TOEIC対策も担当されている。ほかの企業が提供しているTOEIC対策ではスコアをとることに重きをおいており、スコアは伸びても基本的な英語力が身についていないことが多いが、関先生は基本的な英語力を上げながらTOEICの点数アップにもつながる勉強法を教えてくれるため、TOEIC対策の動画視聴と教材を使用して英語力が大きく向上した。
物理:
① 入門問題精講、基礎問題精講
物理を習得するためには演習量が必要である。この本は初心者むけの基本問題が多く、それなりの問題数が載っているため、物理初学の方にはおすすめである。
1日の勉強時間。また、勉強時間を確保するための工夫や苦労など
正社員をしながらの勉強では私は合格できないと思ったため、仕事をやめ非常勤アルバイトとして働きながら勉強することで必要なお金を貯めつつ勉強時間を確保した。
アルバイトがある日は6~8時間ほど、それ以外の日は大体1日10時間ほど勉強していた。アルバイトは週2、3日の午前のみシフトをいれることで勉強と仕事のバランスを取っていた。
家族の反応など
家族は受験に対してすごく協力的だった。正社員を辞めるといったときは不安そうにはしていたが、医学部受験にチャレンジをすることを伝えると頑張れと応援してくれた。実家に住んでいたため食事や洗濯などもしてくれ、金銭的援助もしてくれたので勉強のみに集中できた。本当に両親には感謝しかないです。
スランプの有無とスランプ克服法
1年以内に合格する気でいたので、1年目に面接落ちしたときは正直絶望感しかなく何も手につかない状態だった。当時は2年目の受験を考えておらず最終結果発表後はただボーっとする日々が続き、今後どうやって人生を生きていこうかなと考えているときに、友人や両親がもう一回チャレンジしてみたら?という言葉をくれ2年目も挑戦してみることにした。ただ1年目で受かる気で頑張っていたので1年目滋賀二次が終わった瞬間から燃え尽き症候群になっており、もう一度あのしんどい受験勉強をあと1年もするのかと考えるとやる気が起きなかった。生命科学の教材に触れることも嫌で勉強に前向きになれない自分に少し焦りを感じでいたが、今は休まないといけない時間だと考え、3,4か月ほど勉強を一切しなかった。この時期に中途半端に勉強を続けるのではなく、一回勉強というストレスから完全に離れたことで頭の中を整理できたので休んで正解だったと思う。学士編入試験の勉強は長期戦であり病む時間が多かったが、ストレスから自分を解放する時間を作り、思い切って休むということも重要だと学んだ。勉強と休憩のバランスをとることはとても難しいが、自分自身をよく理解し、体調管理をしながら自分に適した勉強法をみつけることが合格への近道だと考える。
その他、受験勉強を経験した感想など
正直本当にしんどかったです。人生で一番勉強したといっても過言ではないくらいに勉強しました。ただこの受験勉強はつらいことだけではなく、自分のやりたい夢に向かって挑戦し、努力しているという現状にワクワクを感じている自分もいました。この学士編入試験を通して自分がやってみたいことに全力で挑戦すること、自分の限界を突破すること、自分がなりたいことのために嫌なことから逃げない大切さを知りました。今は人生を通してやってみたいことを見つけられて、その夢への切符を手にしたことをうれしく思うのと、毎日ワクワクしている自分がいます。
受験を決断したときは、新卒で入職した病院をやめ、合格率一桁%の編入試験合格という狭き門をくぐりに行くのは大きな不安が伴いました。しかし努力を重ねた結果第一志望である滋賀医科大学さんから正規合格をもらうことができ本当に挑戦してよかったなと思います。いろんな失敗もたくさんしたけれど、それはすべて志望校合格のために必要なことで、今となっては自分を成長させるために必要な経験だった思います。最終合格をいただけた今、本当にあきらめずに最後まで頑張り続けてよかったなと思います。
その他
これから医学部編入を目指す方へエール
これから学士編入を受ける方の中には、希望でワクワクしている人や、不安を感じている人など様々な人がいると思います。編入試験は大半の人にとってはつらいものだと思いますが、あともうちょっとというところでやめてしまわないように、夢を叶えるその最後の瞬間まで諦めずに頑張ってください。正しい勉強量を正しいやり方で続けていれば必ず最終合格をもらえる日が来ます。自分の勉強法が正しいかどうか分からない人はチューターや塾講師の先生方との面談をしてみるのもいいかもしれません。この体験記を読んでなにか皆さんの助けになっていれば幸いです。最後まで読んでいただきありがとうございました。