24年 島根大学(医学部)合格者 合格体験記
30代、私立大学農学部系を卒業後、食品メーカーで生産技術を担当。複数回転職を経験し、がんの基礎研究に従事するなかで、がんの患者会に参加した際の経験がもととなり、医学部受験を決意。管理職も経験しながらフルタイムワークをこなしつつ受験勉強を続け、2024年10月に島根大学から合格をいただく。
1. プロフィール
医学部編入、学士編入に至るまでの経緯
大学では理系学部で酵素学を専攻し、ラボで日々手を動かして実験をし、実験考察を繰り返した。卒業後は食品業界やバイオ、IT業界でプレイヤーもマネジャーも両方経験した。
医師を志したきっかけ
ウェットラボで免疫細胞の基礎研究に携わった際に、がんの患者会に参加する機会を得た。最適な治療法を望む患者の姿や色々な治療法を駆使して応える医師の姿が目に焼き付いた。患者さんと会話させていただいた経験が基となり、直接治療に携わりたいと考え、医師を志した。
受験先と受験結果
2024年実施
出願校 | 書類 | 筆記試験 | 面接試験 |
---|---|---|---|
鹿児島 | - | × | - |
大分 | 〇(1位) | ×(46位) | - |
愛媛 | - | 〇(13位) | × |
島根 | - | 〇 | 〇(進学予定) |
群馬 | - | × | - |
2024年実施の鹿児島や愛媛、島根には、TOEIC 830点で出願した。
2. 勉強方法
KALSに入学した時期・理由
2020年4月にKALS新大阪校に入学し、通学した(基礎・完成・実戦)。転職に伴い、2024年1月からはKALS新宿校に通学し、実戦生命科学やトップレベルテストゼミをライブで受講した。ゼミでは、60分で最大限に得点化する術を身に着けることができ、時間配分や記述答案の書き方、得点力が磨かれ合格できたと感じる。ゼミ中に記述力が伸びるのを実感した。
個人的に井出先生のトークが大好きで、雑談もGoodnotesの端に書き溜めて、復習する際に板書の内容を思い出すキーワードにしていた。
志望校を選んだ時期・理由
受験科目との相性で受験校を選定した。チューターさんや受験で知り合った戦友たち(現医学生)にも相談しながら、受験校を決定した。受験に掛かる費用はあらかじめ年間を通して見積もり、その金額はストックしておいた。試験の日程については、KALSの試験日程カレンダーをダウンロードし、カレンダーアプリにもメモをし、書類提出日を忘れないように常に気を配って生活した。
入試までに勉強した科目
4科目(生命科学、英語、化学、物理)を中心に勉強した。
各科目の勉強法
退職して勉強するライバルたちに比べると勉強時間が限られ、2科目校専願の強者には勝てずだった。そのため、高校レベルの物理・化学からも出題がある大学を第一志望に勉強した。また、フルタイムで働いていたので、お金よりも時間が大事と考え、誰かに頼れるところは頼るように心掛けた。自炊も外食も取り入れ、志望動機書は信頼できる方々に有償で添削依頼、面接練習もトータルで100回以上していただいた。
英語
医師を目指す前に、キャリアアップのためTOEICの勉強を行っていた。元々は550点ほどだったが、Native講師とのTOEICスクールに1年半ほど通いスコアメイクした(約400時間)。筆記で課される英語演習には主にKALSの英文法と完成英語のテキストを使用し、時間を計って解いた。英文法の例文と和訳を1対1で記憶し、すらすら言えるように反復して音読したのが個人的によかった(約500時間)。
生命科学
KALSのテキスト(特に基礎と完成)をやりこんだ。授業動画を見て、その後に何も見ずに問題を解いた。問題を見た瞬間に解き方がわかるまで繰り返した。動画を見るだけだと解けるような錯覚を覚えるが、それは井出先生のトークが上手いからであり、実際はその通りに答案にかけないことばかりだった。テキストの解答が洗練されすぎていて理解できなかったところは、井出先生や井村先生に積極的に質問し、また通学メンバーとも議論した。白紙に書き出すアクティブリコールを繰り返したのが非常に有効だった(トータル約2,200時間+演習に1,300時間程度を費やした)。要項集については、練習問題だけを印刷し、通勤時間に反復した。
ライバルたちはテキストの問題は完璧に仕上げてくるので、基礎のワークブック(WB)は3周、完成WBも受験生の友人と平日夜にZoomをつなげて1時間で4題ほど解き、解説し合った。これにより、仕事後の疲れた状態でも集中してかつ楽しく演習することができ、友人には感謝している。
化学や物理
大学受験用の市販の参考書 (らくらくマスターや早わかり一問一答を愛用した) を使用し、愛媛、山口、島根、弘前で過去に出ている範囲を問題演習した。島根で出題される大学範囲の有機化学は結局追いつかなかったが、似た内容の香川の過去問も併用し問題演習した。(100時間を費やした)
島根合格に向けて
過去問を5年分以上、時間を計って解いた。過去問は直前に見る方もいるが、何よりも先に取り組むべきと感じた。
英語は英作から始め、それぞれ15分で100語を書けるように演習した(おかげで、本番では10分ほど時間が余った)。
生命科学は近年傾向が変わった印象もあったが、KALSのテキストからよくでる免疫分野以外も反復して解き続けた。
1日の勉強時間、勉強時間を確保するために工夫したこと
あらかじめ年間、月間、週間計画を立てた。体調不良や突発的事案でスケジュールが崩れることは多々あったので、調整日を設けて余裕を持ったスケジュールを組むように心がけた。2024年度は早朝に1時間、通勤や会議の合間の隙間を活用し平日totalで2~3時間分は確保した。
総勉強時間に占める各教科の割合
過去約3年で5,000時間の勉強時間を確保した。(過去5年では、約6,000h)
年間休日約120日(土日出勤の日もあったが)×8~10h = 約1,050時間
平日約245日×2~3h = 約610時間
年間合計約1,660時間
それを約3年間で約5,000時間
他の合格者の体験記を見ると、総勉強時間が2,000~3,000時間で合格されている方が多いように見受けられる。私の場合、元々武器となる科目がなく、さらに転職を経験したことで、人間関係を一から構築し直し仕事を覚える必要があった。復習がおろそかになり、余分に時間がかかったと分析している。ただ、おかげで尊敬する多方面の方々と仕事ができ、生活は常にチャレンジに満ちて楽しかった。
KALS実力テスト(2024年)の結果
生命科学 | 英語 | |
---|---|---|
実戦中間 | 26/100(38.2) | - |
実力テスト① | 37/100(49.8) | - |
実力テスト② | 32/100(39.0) | - |
第一回公開模試 | 95/200(57.0) 46位/167人 |
57/100(63.5) 14位/156人 |
第二回公開模試 | 54/100(50.4) 55位/134人 |
- |
第1回テストゼミ | 46/100(52.2) | - |
第2回テストゼミ | 42/100(53.2) | - |
第3回テストゼミ | 42/100(54.6) | - |
第4回テストゼミ | 40/100(52.9) | - |
第5回テストゼミ | 31/100 | - |
新宿校で初めて受けた実戦中間で26点しか得点できず、あぁ今年もまたダメかという思いがよぎったが、間違えた個所を徹底して見直した。他の人が取れている問題は次こそは必ず取るという思いで、何度も手を動かした。講評を熟読し、その言葉に励まされ何度も解き続けた。新宿校でのトップレベルゼミで偏差値50をキープし続けた受験生はその年にだいたい合格するという話を信じ、ゼミでは1時間の制限時間に心を燃やした。ライバルたちとの休憩時間の雑談に助けられた。
おすすめ図書
要項集に書いてあるおすすめ図書リストを参考にした。また、まぐまぐで井出先生がおすすめしている図書は購入し、通勤時などに読んでいた。
勉強のスランプについて
勉強をしても模試や本番で太刀打ちできないことを経験した。井出先生に相談し、前日の復習が疎かなのに、次の章に進んでいたことに気づき、過去にやった復習をしてからその日の勉強をスタートするように変え、成績が向上した。勉強の仕方が間違っていたことにやっと気づいた。
受験にかかった費用(ご参考まで)
項目 | 金額(円) | 備考 |
---|---|---|
Kals受講費 | 約190万 |
2020年度基礎・完成・実戦 2021年度有機化学 2022年度統計・確率 2024年度実戦生命科学、トップレベルゼミ、過去問プレミアム講座、面接対策など |
受験費用 | 約200万 | 出願料、移動・ホテル代、郵送料など |
その他 | 約25万 | 書籍購入、iPad, TOEIC, TOEFL |
合計 | 約415万 | 良いブランドの新車を買ったと思い、自身への投資なので将来回収します |
受験を経験した感想
筆記試験や面接官との相性による当落は実際あった。医師になりたい気持ちと、私がんばってるよという謙虚の自信を常に持ち続け生活してきた。
受験に集中することで失ったものは数えきれない。しかし、それ以上に、受験で知り合った素晴らしい仲間たちのおかげで、何回も自分の受験番号が合格発表日にないことを経験しても続けることができた。諦めることを諦め、転職も経験したことで人生観が変わった。がんに苦しむ患者さん方への貢献、そして医学の発展に微力でも貢献できるように、これから全力で向き合っていきます。苦しいときにいつも思い出していた言葉がある。SEAMOさんの「Continue」という歌の歌詞で、
"負けたら終わりじゃなくて、辞めたら終わりなんだよね。どんな夢でも叶える魔法、それは続けること"
続けて本当によかった。同じ境遇で喘いておられる方、心より応援しております。