はじめよう。まだ、未来は変えられる。

大学院で税法を研究する|研究計画書テーマの選び方 コラム 

 通学講座  オンライン講座
  •  作成日 2026/6/12

税理士の「税法」科目免除をめざす大学院では、研究を行い、その成果を修士論文としてまとめることが核になります。そして、その出発点が「どのテーマを研究するか」という選択です。

研究テーマは、入試で提出する研究計画書の中心であると同時に、入学後の研究生活、ひいては免除認定の前提にもなる重要な要素です。テーマ選びを誤ると、途中で行き詰まったり、研究としての形を保ちにくくなったりすることもあります。

本記事では、試験勉強と税法研究の違いを押さえたうえで、テーマ選定の進め方、主要な研究分野、そして研究が実務に与える影響までを整理します。これから研究計画書に取り組む方が、テーマ設定の考え方をつかむための内容です。

試験勉強と税法研究の違い

結論として、試験勉強と税法研究は「正解を覚える学び」と「問いを立てて論じる学び」という、根本的に異なる営みです。まずは両者の違いを整理します。

観点 試験勉強 税法研究
ねらい 定められた範囲の習得 問いを立て、論じて答えを導く
扱う対象 条文・通達の知識 条文・判例・学説の解釈
求められる力 正確に覚え、適用する 論点を整理し、根拠を示して主張する

試験勉強では、定められた範囲の知識を正確に身につけ、問題に適用する力が問われます。これに対し研究では、自分で「問い」を立て、条文・判例・学説を読み解きながら、根拠を示して答えを論じていきます。

大切なのは、研究には唯一の正解が用意されていないことです。だからこそ、何を問い、どう論じるかというテーマ設定が、研究全体の質を左右します。試験で得点する力と、研究を組み立てる力は別物だと理解しておくことが第一歩です。

研究テーマ選定のステップ

結論として、研究テーマは思いつきで決めるのではなく、関心から論点へと段階的に絞り込んでいくのが王道です。おおまかには次のステップで進めます。

  • 関心のある領域を広く挙げる:実務経験や日頃の疑問から、興味の持てる税目・分野を洗い出す
  • 論点があるかを確かめる:その領域に、解釈が分かれる点や議論のある点があるかを調べる
  • 先行研究・判例を調べる:すでにどこまで論じられているかを把握し、自分が掘り下げる余地を探す
  • 問いを一文に絞り込む:「何を明らかにするのか」を、はっきりとした問いの形にまとめる

ポイントは、テーマを広げる段階と絞り込む段階を分けて考えることです。最初から狭く決め打ちすると、論点が乏しく行き詰まったり、逆に手に負えない大きさになったりします。まず広げ、それから絞るという順序を意識します。

とくに重要なのが「問いを一文に絞り込む」段階です。問いが曖昧なままだと、研究計画書全体の筋がぼやけてしまいます。テーマを研究計画書としてまとめる具体的な進め方は 研究計画書対策 で扱っています。

税法の主要な研究分野

結論として、税法研究のテーマは特定の税目に関するものが中心ですが、税目をまたぐ共通の論点もあります。代表的な分野は次のとおりです。

  • 所得税法:所得区分や課税のタイミングなど、個人課税をめぐる論点
  • 法人税法:益金・損金の取り扱いや組織再編など、企業課税の論点
  • 相続税法:財産評価や事業承継など、資産の移転に関わる論点
  • 消費税法:課税・非課税の区分や仕入税額控除などの論点
  • 租税手続・通則:申告・更正や納税者の権利救済など、税目に共通する論点

これらの分野は独立しているわけではなく、共通する考え方でつながっています。たとえば、ある取引をどう評価するかという論点は、複数の税目にまたがって現れることがあります。

どの分野を選ぶかは、自分の関心や実務経験との相性で決めるとよいでしょう。ただし、研究として論じる余地があるか、資料を集められるかも見極めが必要です。免除制度の全体像は 科目免除制度とは? もあわせてご確認ください。

研究が実務に与える影響

結論として、税法の研究は「免除を受けるための手段」にとどまらず、税理士として働くうえでの専門性そのものを育てる経験になります。

研究では、一つのテーマを深く掘り下げ、条文や判例にあたって自分の頭で論じる訓練を積みます。この過程で身につく「根拠にさかのぼって考える力」は、実務で難しい判断を求められたときに支えになります。

また、特定の税目や論点を深く理解しておくことは、その分野を得意領域として打ち出すうえでの土台になります。研究で扱ったテーマが、実務での専門分野や、顧客への説明の説得力につながることもあります。

つまり、テーマ選びは入試対策であると同時に、将来どんな税理士になりたいかという問いにもつながっています。目先の合格だけでなく、その先のキャリアまで見据えて選ぶことが、納得感のある研究につながります。

よくある質問

研究テーマは出願時に決めておく必要がありますか?

多くの場合、研究計画書の段階で取り組みたいテーマの方向性を示すことが求められます。入学後に深めたり調整したりする余地はありますが、出願時点で「何を研究したいか」を自分の言葉で語れるようにしておくことが大切です。

実務経験がなくてもテーマは選べますか?

選べます。実務経験は関心の入り口として役立ちますが、必須ではありません。日頃の疑問やニュースで気になった論点など、自分が掘り下げたいと思える切り口から出発すれば、新卒の方でも十分にテーマを設定できます。

テーマが大きすぎる・小さすぎるか、どう判断しますか?

「一つの問いに絞れているか」「論じる余地と資料があるか」が目安になります。問いが複数に分かれていれば広すぎ、論点や資料が見当たらなければ狭すぎる可能性があります。先行研究を調べながら、無理なく論じられる範囲に調整していきます。

あわせて読みたい

※本記事は一般的な研究テーマの考え方の解説です。制度の詳細・要件は変更される場合があります。最新は各大学・国税庁等の公式情報でご確認ください。

まずはガイダンス・説明会へ

講座の特色や試験情報、学習の進め方を知る第一歩としてご活用ください。