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医学部再受験(一般入試)と学士編入試験ってどっちがいいの? コラム 

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医学部再受験(一般入試)と学士編入試験の違いとは?
  •  作成日 2026/5/26

◇医学部再受験(一般入試)と学士編入試験ってどっちがいいの?

というご相談をされることがよくあります。

KALSにご相談に来られる方には、社会人の方/学生の方、理系の方/文系の方、高齢の方/若い方など様々な方がいらっしゃいます。共通しているのは、「医学部を目指していて、自分にとって最も合格可能性の高い入試手段を探している」ということです。

もちろん、それぞれの入試方式にはメリットとデメリットがありますが、それは全員に共通のものではありません。いわば、その人にとっての向き不向きがあります。『結論として、〇〇がお勧めです!』というように簡単には言えないものです。

医師を目指す以上、医学部に進学するしかありません。大学生や大卒の社会人が医学部に進学するにあたって考えられる手段は、(推薦等の特殊な入試を除くと)一般入試か医学部学士編入試験の二択になります。裏を返せば、学士という学位を持っているから、選択の権利が与えられているとも言えます。

インターネット上の記事や合格者の体験談などで、この二択を比較したような情報を目にすることがあるかもしれません。もちろん、客観性を意識して書かれたものだとは思いますが、指導経験や実体験に基づいていることが多く、ややどちらかの入試方式に偏った意見になっている場合があります。

ご相談に来られる方に対して我々がお伝えしたいことは、「どちらかに偏りすぎず、公平に比較して考えてほしい」ということです。向いていない人に対して、無理に学士編入試験の受験を勧めることではありません。

本コラムでは、医学部再受験も学士編入試験も両方経験した筆者が、できる限り中立に両入試方式を比較します。最後まで、どちらかの入試方式を推奨することはありませんので、皆さん自身の学力、立場、バックグラウンドなどを考えながら、向き不向きを判断してください。

0.前提

この先を読んでもらう前に、前提を2つほど確認しておきます。

まず、受験資格について。一般入試における受験資格は、高校卒業(もしくは同程度)のみです。一方、医学部学士編入試験における受験資格は、4年制以上の大学を卒業して学士の学位を取得した(あるいは取得見込み)の者となります。

ここで注意すべきなのは、大学中退や、短大や専門学校の卒業では受験資格が満たせない点です(高知大学を除く)。また、大学低学年でも、一部の大学を除いて受験資格がありません。歯学部や薬学部、獣医学部などの6年制大学に在学されている場合は、6年間で学士の取得となるため、6年次まで受験ができないことになります。

これらの条件に引っ掛かる方は、消去法的に一般入試のみが選択肢となります。大学在学中の方であれば、いわゆる「仮面浪人」に相当します。

また、もう一つの前提として、一般入試と学士編入試験の両立は推奨されないということです。完全に不可能というわけではありませんし、両立していずれかの方式で合格された方がいらっしゃるのも事実です。ただし、以降の項で比較していくと分かるように、求められている学力や能力が全く異なる試験形式ですので、初めから両方を同時に目指すことは推奨しておりません。

これらを確認したうえで、実際の比較に進みましょう。

1.入試概要

まずは、募集要項などから客観的に確認できる点を比較します。

一般入試 学士編入試験 ※一部大学において
実施大学 国公立大学、私立大学 国公立大学、私立大学
併願 前期、後期、私立個別日程 複数校可能
合格者数 100名前後/校 4~20人/校
志願倍率 国公立前期:2~10倍 後期:15~40倍
私立大学 :10~100倍
10~20倍
試験時期 1~3月 6~12月(一部大学を除く)
入学年次 1年次 2年次(一部大学を除く)
受験資格 高校卒業(程度) 学士(取得見込み)
出願書類 履歴書、調査書等 卒業証明書、成績証明書、
志望理由書※、推薦書※、
<研究業績、研究計画書等※>
選抜方法 大学入試共通テスト、
個別学力試験、
面接
書類審査※、英語外部スコア※、
個別学力試験、
面接、プレゼンテーション※、
グループディスカッション※等
試験科目 共通テスト:6教科8科目
個別学力試験:英語、数学、物化生等
英語、生命科学
±<物理、化学、数学、統計、小論文等※>

各項目を補足していきます。

なお、ここでは国立大学にフォーカスして以下を述べます。

まずは実施大学について、一般入試は医学部のある全ての大学が対象となりますが、学士編入試験は令和8年現在、国立25大学と、公立1大学のみとなっており、選択肢の幅に差があります。

一般入試においては、全ての大学で出願可能ではありますが、一部の大学は再受験など、年齢や浪人年数に厳しいところもあります。これは公の情報にはなっていないため、個人で把握するのは難しい側面もあります。

一方、学士編入試験においても、年齢に厳しいと噂される大学は一部あります。ただし、受験者数、合格者数ともに少ない試験のため、高齢の方がそもそもほとんどチャレンジしていないだけの可能性もあります。一般入試ほどのサンプル数がないため、データの捉え方にも注意が必要です。

次に、併願について。令和8年現在、一般入試において中期日程で入試を実施している大学はないため、国公立大学では前期および後期試験の2回のチャンスに限られます。私立大学を含めれば複数校受験できますが、学費等の観点から国公立大学専願の方にとっては「一発勝負」のイメージが強くなります。

一方、学士編入試験においては、国公立大学のみの選択肢となりますが、試験日程が被らない限り、受験校数に制限はありません。現実的には、一年間に10大学を超える回数の受験を行うのは大変だと思いますが、平均して4~5校の受験をされているため、試行回数を多く稼ぐことはできます。

さらに、合格可能性を語るうえで重要なのが合格者数と入試倍率です。各大学の入学定員はおよそ100~120名であり、そのほとんどが一般入試(地域枠等も含む)となっています。学士編入の枠は、多いところで弘前大学の20名、多くの大学で5~10名の枠となります。そのため、国公立大学同士の倍率で比較すると、ざっくりと、一般入試前期<学士編入試験<一般入試後期というイメージです。一般入試後期は実施大学、募集人数共に少ないため、あまり本命にすることはできません。そのため、倍率の低めな一般入試前期一発勝負vs倍率が高めな学士編入試験を複数校受験で比較すべきかと思います。

学士編入試験の入試倍率は、新型コロナウイルスのパンデミックがあった2020年前後で最大を記録し、近年は低下傾向にあります。一部の大学では、筆記試験の倍率のみに注目すると2倍を下回る年もあります。この風潮は、再度パンデミックのような不測の事態が起こらない限り続くと見込んで、好機ととらえる方も増えてきているようです。

続いて、試験時期について。これは単純明快で、一般入試は大学入試共通テストを受けて、前期試験に臨むだけです。一方、学士編入試験は、筆記試験の日程で考えると6月の初週から11月くらいまで、面接試験は筆記試験の合格発表後になることが主です。この日程の幅の広さが、併願を可能にしているわけです。

また、入学年次についても差があります。一般入試では1年次から入学して6年間修学するのに対し、学士編入試験では一部の大学を除いて2年次からの編入学になります。医学部とはいえ、1年次は主に一般教養を学びます。学士編入生においては、他大で取得した学士をもって、その一般教養を修了したとみなされます。そのため、一部の大学では2年次以降の科目免除も得られる場合があります。また、島根大学では、5名を2年次編入学、もう5名を3年次編入学として募集しておりますが、3年次編入学の受験資格には、歯科医師、獣医師、薬剤師のいずれかの免許を保持する者(取得見込みを含む)のみとなっています。

さらに、高知大学においては、令和8年に実施される入試から大きく変更となり、2年次編入から1年次後期へ変更になっています。

出願資格については記載の通りですが、編入試験について少し補足をしておきます。

一部の大学では、指定単位数をクリアすれば出願可能であるため、卒業見込みがなくても受験可能な場合もあります。

出願書類について比較します。一般入試において準備すべきものはほとんどなく、母校の高校に調査書を取りに行く程度です。合格判定基準には調査書の内容も含みますが、今から対策を講じる余地はありません。

一方、学士編入試験において出願に必要な書類は大学によって異なります。一般入試同様、各種証明書はもちろん必要ですが、一部の大学において推薦書が必要となるのが編入試験の特徴です。大学の指導教員が一般的ですが、該当しない場合でも親族以外の第三者に書いてもらう形でクリアできるケースもあります。

⑩ 具体的な試験については、やや内容が重くなるため次項以降で説明します。

ここまで、客観的な募集要項上の対比を行ってきました。これだけでもだいぶ特徴の異なる入試方式であることはご理解いただけたと思います。この時点では、まだ「自分はこっちに向いている」と判断するのは難しい段階かもしれませんが、次項以降でさらに具体的な試験内容の違いについて解説します。

2.筆記試験

一般入試における筆記試験は、国公立大学と私立大学の受験で対策範囲が異なります。この項でのみ国公立大学一般入試、私立大学一般入試、学士編入試験に分けて比較してみます。

一般入試 学士編入試験
国公立大学 私立大学
英語
数学 △一部大学
物理 ○2科目選択 ○2科目選択 △一部大学
化学 △一部大学
生物/生命科学
国語 ○共通テスト
社会 ○共通テスト
統計 △一部大学
小論文 △後期試験 △一部大学 △一部大学

出題レベルや難易度までは言及できませんが、科目数は概ね上表の通りです。

一般入試の国公立、私立で大きく異なるのが、共通テスト受験の有無です。共通テストが必要となる国公立大学入試では、国語や社会まで対策範囲となってしまい、科目数が増えてしまいます。一方、私立大学入試であれば文系科目の学習範囲は必要なくなるものの、多くの大学で小論文を課すことから、依然として科目の幅の広さは残っています。また、一般入試の学科試験において、数学の占めるウエイトは大きく、合否に大きく寄与します。近年は高校の学習指導要領の変化もあり、数年前と比較して学習範囲に変化があるだけでなく、数学ⅢCを含む難易度の高い問題に挑戦しなくてはなりません。

学士編入試験と比較すると、学習範囲の明確さや過去問の入手しやすさは一般入試に軍配が上がります。試験範囲は高校の学習指導要領内に限定されており、教科書や参考書なども多く市販されています。また、いずれの大学であっても、「赤本」のような市販の過去問があるため、受験生間の情報格差は比較的少ないと言えるでしょう。

一般的に医学部入学後に国語や社会の知識が必要となることはほとんどありません。それどころか、数学や物理、化学も(考え方等は重要ですが)医師国家試験に向けて必要になることはないでしょう。これらの科目を「入試のための学問」としてどこまで対策できるかを考える必要があります。

次に、最も少ない科目数で受験できるのが学士編入試験ですが、英語や生命科学の出題内容は深く、難易度の高いものになることが多いです。また、募集要項上は「自然科学総合」などと書かれている場合も、生命科学の出題とは限らず、英語での出題や、物理、化学、統計学などを含んでいる場合があるので、注意が必要です。

また、学士編入試験は大学によって出題科目、難易度、傾向が全く異なる入試形式となります。高校レベルの知識で解ける問題から、高度な大学レベルの教養を求められる問題まで幅広く、何も知らないままの受験は大変危険です。過去問が市販されているわけではないため、入手には一定のハードルがあります。

このような「ブラックボックス」的な試験の中で、学習の到達目標を見失いがちなのが生命科学です。生命科学とは、生化学、生理学、発生学、遺伝学、免疫学等の複数科目の総称であり、膨大な範囲を含みます。ただし、その中から試験で課される範囲に当たるのは、医学部2年次で学ぶ程度の基礎医学に該当する部分になります。ほとんどの受験生が初学でスタートし、受験レベルまで引き上げられていることを鑑みると、対応できないほど難しい科目ではなく、いかに効率よく勉強するかが重要な科目となります。

しかしながら、生命科学は医学部入学後において非常に大切な基礎医学の礎になります。その点、編入試験の受験勉強は一過性のものではなく、未来につながる学びであるという見方もできます。

3.面接試験等

一般入試における面接試験は、筆記試験と同日あるいは近日中に、基本的に全員に対して行われます。個人面接、集団面接、グループディスカッション等がありますが、いずれにおいても高い倍率を乗り越えるようなものではありません。一般的に医師としての適性があるか、地域枠であれば卒後の進路に問題がないか等の確認の意味が大きくなっています。一般入試受験生にとって、面接試験等でつまずくことはそう多くないと思います。

学士編入試験における面接試験は、一部の大学を除き筆記試験の合格者のみに対して、別日に実施されます。個人面接、プレゼンテーション、グループディスカッション等があり、いずれの形式においても倍率が3~6倍もあるような、れっきとした「試験」です。

学士編入試験を受験される方にとっては、この面接試験も筆記試験と並んで大きな関門となります。出願時に提出する志望理由書の内容から試験は始まっており、どうして現在のキャリアから医師になる必要があるのか、医師としてキャリアを活かして何をしたいのかなどについて明確にしなければなりません。しっかりした志望理由書を書いたうえで、面接試験の際に面接官を納得させることができれば、合格につながるような試験形式です。

逆に、これまで大学で学んできた専門性や、仕事や研究などのキャリアが活かせる入試方式と捉えることもできます。しっかりと経歴をアピールできる方、面接やプレゼンテーションが得意な方にとっては追い風の試験となります。

4.まとめ

最後にまとめとして、各入試方式に向いている人を対比しておきます。

一般入試 学士編入試験
1 文系科目を含む幅広い対策ができる人 少ない科目を深く勉強できる人
2 若い現役生との学力勝負に勝てる人 自身のキャリアを活かして受験したい人
3 一発勝負の試験に強い人 複数校の並行受験をマネジメントできる人
4 面接が苦手な人 面接が得意な人
5 まわりに合わせて勉強ができる人 情報収集やプランニングが得意な人

恐らく、完全に一方の入試方式が向いているという方はそう多くないと思います。例えば、「理系科目は得意だが、文系科目は全く触れてきていない」、「面接でアピールしたいが、生命科学はやったことがない」、「生命科学は触れているが、情報収集が苦手」など、ジレンマは生じるものだと思います。

そのような場合に、自分の足りない部分を補うのが予備校の役割だと思います。何となく入試方式を決めて、目的を持たずに予備校に入講するのではなく、「自分はここを活かして入試を行いたいから、この部分をサポートしてもらいたい」などの明確な目的をもって予備校を利用すべきです。本コラムの内容を一つの参考として、自身で比較的向いている選択肢を見つけ出すとともに、その入試方式において、自分に足りていない部分、サポートが必要な部分が明確になれば、次にとるべき行動がおのずと明確になると思います。